「どうやったら自分に合った選択肢をみんなが選べるようになるだろう?」​

新卒で人材業界に入り、サラリーマン時代とフリーランスを含めて大学生の新卒採用や若手社会人研修に、約10年、関わってきました。人事向けの営業と求職者のカウンセリング、両方の経験を積みました。特にカウンセリングの方では、人生の大きな岐路の意思決定に関わっていくわけですが、「自分がどうしたいか」よりも「他人の期待に応える」ことを優先する人が多いように感じました。先行き不透明な時代と言われて育ち、将来に不安がある人も多く、自分のやりたいことを追求しているような夢見がちなことをするよりも、現実を見つめて「安定に見える」選択肢を選ぶ方もいます。

良い同僚や上司に恵まれていればいいのですが、時に理不尽に思うことを押し付けられたりする環境が続くこともあります。そうすると、本当はやりたいことではないのだけど、安定のために我慢し続けて働いた結果、うつ病になったり、ストレスで体調を壊してしまって、それでも失業の恐怖から会社を辞められない人もいました。また本人は健康であっても、家族が病気や障害を抱えてサポートが必要だったり、妊活、子育て、介護、その他の理由で、仕事だけに生活を100%コミットできる状態にない方もたくさんいらっしゃいます。競争社会というのは厳しいもので、「自助」「共助」「公助」のうち、公助(福祉制度)にもたどり着けず、都会の核家族や1人暮らしで共助をしてもらえる仲間もいない、自助努力の限界のところで生きている方、そういう方に「大変な時はSOSを出してもいいんだよ」「我慢しないで本当にやりたいことを目指していいだよ」と伝えたいとずっと思っていました。競争ではなく、助け合いの社会に意識変革していくことが、人々の心が健康でいられる一歩だと思っています。

人生100%順風満帆の人なんていません。山あり谷あり、私なんてジェットコースターのような人生です。
予期せぬことで困ることは誰でもあります。困った時は、社会として助け合いの選択肢を準備することが大切だと思っています。ただ、選択肢を社会が提供すれば、誰かを救えるか?というとそうでもありません。目の前にある選択肢を自分の意思で選ぶことができてやっと、状況を打破できるのです。自分で選べるようになるには2つのハードルがあると感じています。1つ目は、自分に自信がなかったり、他人の期待に応えることが当たり前になってしまって、自分の本当の気持ちを感じることが難しくなっている場合があること。2つ目は、自分に合った支援者・支援先を探せない、辿りつけないこと。

「選ぶ」って本当に難しい。どうやったら自分に合った選択肢を発見し、みんなが選べるようになるだろう?と考えました。そこで私に知識が足りなかった公助として重要な役割を果たす医療業界に転身してみました。医療と労働の仲介点として、最初は産業保健に興味を持ちましたが、紆余曲折あり臨床医師のサポートを経て、運命の避妊医療・性教育(人権教育)に出会いました。

ユネスコやWHOが出している「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」を読んでみると、5才から自分を大切にすること、相手を尊重することを教えることを記載しています。またSOSの出し方など、ソーシャルスキル全般が概要に含まれています。とても素敵なコンセプトで、感動したのを覚えています。

株式会社アメニモでは「ピルにゃん」というサービスからスタートします。自費と公費が混ざり合い制度理解がやや複雑で、さらに偏った知識から偏見をもたれがちな「ピル」という領域と、性教育(人権教育)を通じて、「自分に合った選択肢を選べる社会」を作ることに貢献できたらと思っています。

​白須 真鶴枝